一人のための空間はそんなに広くなくていい
住宅を設計する時に、それぞれの部屋の大きさはどのくらいがいいのでしょう。
リビングやダイニングは個々に分かれているか繋がっているかで考え方は変わってきますが、個室というのは目安というものがありました。
例えば主寝室は10畳~、子供室は6畳~というように。
でもこれは別に決まったものではなく、マンションの狭い部屋を二人の子供で使う場合、一人あたり2畳くらいという設計もしました。
この場合は平面だけではなく高さ方向を利用する工夫をして収めたりするわけです。
また個室は寝るだけで、勉強するときはリビングやダイニングにコーナーを作ってそこでやるというような設計もしました。
なんとなく個室の大きさを決めてしまうと、実は無駄が多くて家全体の床面積が増え、建築費も上がってしまいます。
使わない部屋や、無駄な空間が多いとどうなるのか。
そうです、いらないものが増えるんですよね。
だいたい予備室なんて作ってしまうと、ただの物置になります。
また収納のことを一生懸命考えてつくると、これも無駄なものを多く収納するようになります。
そうならないためには、最初から無駄な部屋、無駄な空間、無駄な収納を作らなければいいのです。
そんなんじゃ、ゆとりやあそびの空間がなくて面白くないじゃないの?
いや、あくまでも無駄を省こうと言うことです。
これをタイニーハウスに当てはめてみると、自ずと収納場所が限られ無駄なものを置く余裕がなくなります。
でもいろいろなタイニーハウスの実例を見ていると、決して空間的に貧しさは感じられません。
それどころか、小さくて各要素が詰まっているので、デザイン的にも使い勝手でもよく目が届くようになります。
二人が寝る場所で10畳もいらないことがわかってきます。
テーブルが一つあれば、それを食事に使ったり、仕事に使ったりと無駄がありません。
質の良い機能的な空間になってしまうのがタイニーハウスだと思います。
私は以前45坪ほどの家に少人数で住んでいましたが、自分たちや親が残した荷物、はたまたいつからあるのかよくわからないような物で溢れかえってそれを整理するだけで鬱になってしまうほどでした。
そんな自分だから、余計に無駄な収納に対して恐れているのかもしれません(笑)
物に囲まれていると充実するような錯覚に陥る方も多いと思いますが、本当は自分の気に入った少しのものに囲まれているだけで、それは達成されるのではないかと思います。
タイニーハウスくらいの広さと機能のちょうど良さが逆に心のゆとりを持つ方が増えてくるのではないかと思っています。
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