低仕様の大空間の家と高仕様のタイニーハウス
- 2020.02.24
- タイニーハウス
今回は完全に私見なのでお許しください。
私も建築設計をメインの生業としているので、当然いろいろな建築系の雑誌を見ます。
そこで気になるのが平面方向も高さ方向も大空間、しかも仕切りがあまり無いような建築に出くわすことがままあります。
窓は大きく、壁や天井は構造材がむき出しで、安い予算でなるべく大きな空間を作るという感じ。
構造材がむき出しということは、断熱材をまともに入れてないのではないかとも思われます。
窓はペアガラスのサッシを使っているのでしょうか?
このような家では、冷暖房の設備のランニングコストが大変だろうなと思います。
しかし、これらの大空間の家を否定しているのではなく、タイニーハウスが好きなのは私の嗜好であり、家族構成によって広い家が必要とされる場合があるわけなので、ここではあくまで一人あたりの空間比率と窓、外壁、屋根などの断熱性能についての話です。
広い空間は見栄えがしますが、その分断熱や冷暖房のシステムをちゃんと考えないといけません。
私達が設計する家は、いわゆるエコハウス仕様なので、断熱や冷暖房システムについては結構イニシャルコストは掛けていますが、その代わりランニングコストを抑えるという仕様です。
設計の考え方や、お施主さんの趣味などによって違うと思うのですが、若いときはいいけれど後々住むのに大変になるんじゃないかなと思うわけですが。
以前聞いた話ですが、電気式の床暖房にしたのはいいけれど、月の電気代が10万円を超えてしまい、使いたいけれど使えないという笑うに笑えない話もあります。
タイニーハウスは面積や空間が小さいので、断熱材も十分入れられますし、窓も数が少ないのでペア・トリプルガラスサッシを使ってもそれほどコストは掛かりません。
またこれは地域によりますが、冷暖房は普通のエアコン1台ですませることもできるわけです。
小さめの薪ストーブを使って冬を過ごすというのもいいですね。
これらは、基本的にタイニーハウスが小さな一つの空間だから成り立つということです。
自分が基本貧乏性なのか、設計業務で予算との戦いでヒーヒー言っているからなのか、はたまた地球環境というか人類の生存環境を守るためにという理由なのか、どうも個人の住宅における大空間が受け入れにくいんですよね。
これは最初に申した通り、私見なので別にだれがどのような設計をしようが、どのような家に住もうが自由なわけで、意見を言う必要はないのですが、ちょっともやもやしているので、書かせていただきました。
私がいつの時からタイニーハウスなどの小さな家に興味が湧いてきたかと言うと、世界的な建築家でル・コルビジェという方が設計したカップ・マルタンの休息小屋という建築物があります。
建築地はコート・ダジュールです。
詳しい写真などが乗っているサイトのリンクを貼っておきます。
コルビジェといえば、大きな教会や共同住宅、個人住宅なども手掛けています。
さらに彼が人体と黄金比から割り出したモデュロールという基本寸法があります。
この休暇小屋は、このモデュロールを使って建物、家具などの細部まで設計されたとてもコルビジェ成分濃度の高い建築物となっています。
結局彼はこの小屋の目の前の海にて心臓発作でなくなり、終の棲家となったわけです。
多くの建築家がこの小さな小屋に注目し、さらに時は流れ私も学生時代にこの小屋のことを知りましたが、当時は知識というだけでした。
しかし、設計の仕事をいろいろやっていくうちに、あの小さくて濃密な空間がどんどん頭の中に侵食していき、急に弾けた感じでした。
その頃には欧米でタイニーハウスが流行りはじめ、多分シンクロニシティーだったんでしょうね。
そんな感じで私は大きな空間で低仕様より小さな空間で高仕様(濃密)というのが好きになったという次第です。
あくまでこれも好き好きなので、私は勝手に思っているということでもでいいですよね?
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